アートマ・ボーダ
シャンカラ(伝)による68詩節の概説書。アドヴァイタ・ヴェーダーンタの主要概念を比喩を交えて平易に論じ、アートマン(真我)とブラフマン(絶対者)の同一性を示す入門書として広く読まれてきた古典である。
本書の中心的な主張は第2詩節に凝縮されている。行為・祭祀・苦行など他の修行道は心を整える準備にすぎず、知(ジュニャーナ)だけが解脱へ直に至る唯一の手段である。この立場から、68詩節をかけて、無明の除去から真我の直接認識に至る道筋が段階的に論じられる。
本文より(抜粋)
以下は全68詩節のうちの3節です。完全版(原文・解説・用語集付き)はKindleでお読みいただけます。
1.
苦行によって罪が消え、
心が静まり、
執着を離れ、
解脱を願う者たちのために
その求めに応じて、
この真我の知は説かれる
2.
知は、他のどんな手段とも違い、
それだけが解脱へ直に至る唯一の手段である
煮炊きに火が欠かせないように、
知がなければ解脱は成就しない
48.
この世界のすべては真我にほかならず、
真我のほかには何ものもない
壺などがことごとく土であるように、
すべてを自らの真我として見る